五竜岳から鹿島槍ヶ岳・山行記

 五竜岳と鹿島槍ガ岳のあいだは標高差300m以上の深い切れ込みになっており、岩稜が続く鹿島槍が岳へかけてはハ峰(はちみね)キレットと呼ばれるとりわけ険しい稜線だ。これは五竜岳から鹿島槍が岳まで一日で通過するコースだが、鞍部にはキレット小屋があるので自分のペースと日程に合わせて予定を組むとよい。また、コースは岩稜の狭い道で、先行者がつかえたり、逆コースの登山者とのすれ違いなどに思わぬ時間がかかったりする。充分に余裕をみて行動したい。

■キレットを越えて鹿島槍へ
●歩行時間9時間20分
●標高差750(五竜山荘-五竜岳、鹿島 槍ガ岳)
 
 唐松岳から鹿島槍縦走(1日目は唐松岳・五竜岳縦走」を参照して下さい)2日目は行程が長いので朝一番で出発しよう。五竜岳へ登ると八峰キレットまで難所が連続する道となる。山頂からすぐにザレた急な下り(写001)で鎖を使いながら下るが、道はジグザグに切ってあるので落石には十分注意が必要だ。
 道はいったん緩やかになるが、G4の鞍部への下りは黒部側をG5巻く悪い岩場だ。(写002)G4の鞍部からはG5への登り返しとなる(写003)。切り立った岩場を鎖と梯子を頼りに登り、ガレ場を下り再び黒部側へ出る。と赤抜に到着する。
 (写003)G5
鹿島槍の前に中央左の台形ピークの下が赤抜

(写004)赤抜

 ここは黒部側の長い梯子を2回登り、比較的安全で休憩に最適な北尾根の頭に出る(写004)が、口ノ沢のコルまでは緩い斜面を下るだけ。口ノ沢のコルは五竜~キレット間で唯一安全に休憩できる場所。

(写005)北尾根ノ頭から

 ここから黒部側の斜面を進むと程なく3段の岩場へ出る(写005)。長い鎖場なので慎重に登りたいところだ。
 

(写006)三段岩

(写006)ここを登りきると再びザレの急な下りとなり、鞍部に到着すると目前に長い梯子が掛かっている。ここを登ればキレット小屋はもうすぐだが、小屋の直前まで鎖場が続くので気を抜けない。
 
(写007)ハシゴ
 

キレット小屋

 キレット小屋からはいきなりの岩場だ。鎖を頼りに急な岩場を登る。

クサリ場

 黒部側の梯子とバンドのトラバース道となる。狭いところなので十分な注意が必要だ。

(写008)ハシゴ

 さらに信州側に入り草付きのバンドを伝って歩くとキレットの底への下りとなる。(写008)梯子を1段下るとザレとバンドの下り気味のトラバースとなり、さらに梯子を1段下って底へ降り立つ。ここからは黒部側の梯子が設置されたバンドを歩き難所は終了。
 
(写009)トラバース

(写010)北峰への登り

 鹿島槍ヶ岳への登りが待っている。(写09)(写010)鹿島槍ヶ岳までも所々に鎖があるが、さほどの悪場はない。登り始めこそ急登だが、やがて斜面は緩くなり、岩屑の道になれば北峰と南峰のコルは近い。鹿島槍ヶ岳本峰(南峰)までは吊尾根を歩くが、最後の登りが急でザレているので足元に注意が必要。
北峰への登り
 頂上山頂からの眺望は言うまでもなく360度の大パノラマが得られる。展望を楽しんで後は冷池山荘まで下るだけ。 今までの道が信じられない程、緩やかで広い尾根をどんどん下ると冷池山荘は近い。
南峰から北峰を望む
 

歩行時間:約8時間30分)
※注意箇所:五竜岳~八峰キレット間(滑転落・落石)

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