県界尾根と真教寺尾根は、赤岳頂上から大門沢をはさんで並行して東へのびるスケールの大きな尾根。美し森から赤岳までの標高差は1429m。南八ヶ岳の主要コースのなかでは標高差が大きい。背後に富士山、正面にはめざす赤岳をとらえて着々と高度を上げていくロケーションが爽快だ。
登山日:2018/08/10
コースタイム:県界尾根登り 6時
標高差:1430m

美し森ファム(旧たかね荘)

 美し森ファーム(旧たかね荘)の駐車場(標高約1560m)から登山開始。 周囲はカラマツ林を林道に出る。アスファルト歩きで、県道終了地点(大門沢林道入口)を通過する。 ここまでは車で入れるようだ。車道終点から未舗装の大門沢林道に進み、対岸に移って、巨大な堰堤群を巻きながら左岸を登っていく。樹林のなかの鉄製フェンスを含めて7つ目の堰堤を巻くと、県界尾根取付点に出る。

[大門沢林道分岐・右にとる]
[大門沢林道から ]

県界尾根取付

 登山道へ入ると、いきなり急登になるが、長くは続かない。尾根側面の浅い谷を登って、小さな支尾根に上がると傾斜がゆるむ。ここに大門沢上流とその源頭にそびえ立つ赤岳をよく望める赤岳天望地がある。支尾根を登って、オオシラビソの樹林帯に入ると野辺山道を合わせ、県界尾根上の小天狗に達する。小天狗は三合目である。
[赤岳天望地]
[小天狗分岐点]

小天狗から大天狗に向かう

 小天狗からわずかに下って、ゆるやかに登り返すと樹林が途切れる。赤岳を望む県界尾根随一のビューポイントにでる。この先はなだらかな尾根道が続き、ゆっくり高度を上げていく。古い指導標をすぎると四合目になる。四合目からは、じわじわと傾斜が増してくる。枯木帯をぬけ、苔むした露岩を南から巻いたところが、五合目の大天狗だ。
[ビューポイント]
[大天狗]

ここからいよいよ県界尾根の核心

 大天狗から少し下って、草地を通りぬけると、傾斜が強まる。岩の目立ってきた道を着々と登り、風衝によって枝をくねらせたダケカンバ林に入ると、森林限界が近い。頭上の赤岳はもう間近にせまり、槍のように尖った勇ましい姿を見せている。
[ハシゴと鎖場の始まり]
[荒々しい岩壁 ]

さらに急傾斜の長いクサリ場

 灌木が登山道の両側をおおうと、垂直の岩壁に行く手をはばまれる。ここから最上部の険路がはじまる。目前の岩壁は、鉄製のステップを足場にして右へ約10mトラバースしてから、クサリのかかった露岩を10m直上。さらに約3mのハシゴを登ると、いったん岩場をぬける。次に現われる岩峰の基部が七合目。岩峰は右へ難なく巻ける。その先、ロープに誘導され、延々とクサリが連なる浅いルンゼを登る。傾斜はさほど強くないが、見た目よりわるい。岩盤上の岩屑でスリップしないように足場を選んで登る。
[連続のクサリ場 ]
[天望荘が見えてきた]

核心部の岩場

 ルンゼをぬけると森林限界に達し、ハイマツ帯の狭い尾根を登ると赤岳天望荘との分岐に出る。めざす赤岳へは、巻き道を見送って、ハシゴとクサリの両方が設置された岩場を登る。長さは約50m、クサリを補助で岩盤上を登ったほうが安定する。岩盤をぬけるとハイマツと濯木の斜面を主稜線側ヘトラバースしていく。九合目をすぎ、浅いガレ沢を渡るとリッジに上がる。赤岳北東面にまっすぐ突き上げる岩尾根で、県界尾根最上部の核心部です。
[赤岳頂上山荘が見えてきた ]
[最後まで鎖場 ]

赤岳頂上荘を目指して

 リッジは傾斜が強く、延々とクサリがかかっているが、足場の岩盤が比較的、安定しているので、思ったよりらくに登っていける。雄大な展望を楽しんで、快適なリッジを登りつめれば、北峰に建つ赤岳頂上山荘の前に飛びだし、赤岳頂上に立つ。
[山頂直下 ]
[北峰に出る ]
県界尾根分岐から横岳方面を望む
県界尾根分岐から横岳方面を望む
山頂から手前権現岳・後方南アルプス
山頂から手前権現岳・後方南アルプス

■ルートマップ